「東方美人」と紹介する記事の見出し。GEOW YONG TEA HONGの東方美人 限定 ポケモン ピカチュウ 缶
東方美人、またの名をオリエンタルビューティー。

なんともエレガントで気品あふれる名前のお茶です。

そのお名前ゆえに可愛いパッケージのものも多く、台湾旅行のお土産として配ることも多いお茶なのですが、その際たまに「東方美人って何?」と聞かれるので、その説明を上手くできるように記事にしてまとめてみました。

また、ついでと言ってはあれですが、お茶専門店で販売されている東方美人茶を3種類飲み比べてみましたので、これから「東方美人、ちょっと試してみようかな」と思っている方は購入の際の参考にしてみてください。

「東方美人」とは(基本情報)

台湾のみでつくられる烏龍茶の一種です。

烏龍茶(青茶)のなかでは比較的発酵度合いが高めのため、紅茶の感じに近いものも多いです。

東方美人茶は台湾茶四天王のうちのひとつとされていますが、同じ四天王のお茶の中でも発酵度合いが低い烏龍茶(青茶)の「文山包種茶」というものがありますので、飲み比べながら青茶の範囲の広さに思いを馳せてみるのもいいですね。

何ていうか、「お茶の四天王」という響きが格好いいですよね。
封印された中二心をくすぐられます!

☆名前の由来について☆

以前は(或いは現在も)この台湾烏龍茶を 「東方美人(オリエンタルビューティ)と名付けたのはビクトリア女王だ」と言われていましたが、当時のイギリスは植民地であるインドの紅茶を飲むことを推奨していたため、かの女王が中国茶を称賛するのは不自然であるという説、

「いやいやエリザベス2世女王が名付けたのだ」


「商人ジョン・ドッドが貴族社会にこのお茶を広めた時にコミュニティ内で呼ばれだしたのだ」


という説など複数あり、
世界的に人気のある逸品には相応しい逸話やたくさんの歴史がつきものということが窺い知れます。
いわゆる「諸説あります」というやつですね!笑

☆東方美人茶の特徴☆

通常、比較的平地(高度2~300メートル程度)で育てられ、春から初夏、5・6月ごろに飛来する「ウンカ」という虫に茶葉が噛まれることによって、独特な蜜のような甘い香りが生まれます。

このウンカという虫による香りの変化はダージリンティーでもお馴染みですが、東方美人の甘い香りとダージリンのマスカテルフレーバーは違っています。

フルーティーな香りなのですが、こっくりとしているというか、例えば味や風味を知らない果物を嗅いで「この果実はきっと熟しているな、甘そうだぞ!」と直感的に感じるような、そんな香りです。
果実や蜜、花の蜜に例えられたりしますね。

ウンカに噛まれた芽が含まれている分量が多いほど香りが良く高価になると言われていますので、あまり安価な東方美人では上記のような素晴らしい香りが感じられない可能性があります。

HOJOの東方美人 茶葉 ウンカに噛まれた芽を確認
白~黄色っぽく変色した部分があるのがウンカに噛まれた茶葉の特徴だそうです(写真はHOJOさんの東方美人茶)

かといって高価であれば美味しいのかと言われれば、お値段なんて売り手が自由につけられますから、高価ゆえに美味しいor品質が高いとも限らず
なんならウンカに嚙まれた茶葉でなくても、製茶により甘い香りを出すことが可能な技術もあるとかないとか聞きますから、いやはやですね。

☆淹れ方で気を付けること 大まかに3つ☆
  1.  小ぶりの芽が多い茶葉ではお湯の温度を80℃~85℃くらいの低め(茶葉が繊細なので)、やや大きめの茶葉は90~95℃前後くらいの高め温度で抽出する
  2.  お湯を注ぐときは優しく、茶葉にだばだば水流を当てない(茶葉が繊細なので)
  3.  蒸らし時間は長すぎず、繊細な香りと味わいを大事に(茶葉が繊細なので)

何が言いたいかというと、お高い東方美人茶は繊細ということです。

茶葉やお湯の量などは購入の際やパッケージなどで確認できるかと思うのですが、取り扱いはとにかく優しくということをお伝えしたいです。

茶摘みの方がウンカに噛まれた芽をひとつひとつ目視で確認し手摘みしてくださり、手間暇かけて製茶された末に出来上がった茶葉の味わいと風味を、可能な限り殺さず味わうためには「とにかく丁寧に」淹れたいところです。

さて、では実際に東方美人を3種飲み比べてみます。

・台湾で購入 「林華泰茶行」さんの 東方美人
・店舗で購入 「ルピシア」さんの 東方美人(特級)
・オンラインで購入 「HOJO」さんの 東方美人

どのお茶屋さんも超有名、言わずと知れた銘店ですね。

ゲットいたしました「東方美人」をそれぞれ味わい、それぞれの特徴や良さを比較しまとめてみましたので、購入の際にご参考にしてもらえればと思います。 

* 3煎目までの香り、風味、味を比較してみます。どれも質の良い茶葉ですので、それ以上に煎じることも勿論可能です。

林華泰茶行さん

2023年の夏に台湾のお店で直接購入したものです。
3.5g 85℃程度 170ml 50秒
お湯を注ぎ、蓋をしようとするときにすでに芳しい香りが立っています。

左から1煎目。淹れたてのお茶は、梅のような赤紫蘇のような風味。軽い甘みと、うまみを感じます(若干薄目?)。
2煎目以降は葉がこなれてきたためかボタニカルさと枯れた草の風味もプラス、若いフルーツのような淡い香りも複合します。渋みは目立たず。
3煎目は2煎目とあまり変わらず、やや共通して甘みが控えめかな?という感じ。
しかし茶殻は干したマンゴー?焼き芋?のようなまったりとした濃厚な香り。いい香り。
ライトな余韻とバランスの良い口当たり。
冷茶にしてもよさそうで、気負いなく飲めます。

ルピシアさん

パッケージによると熱湯が推奨されています。
が、以前熱湯で淹れた時は確かに1煎目から香り高く淹れることができたのですが、今回は他のふたつとも同条件で3煎目までの変化や香りの開き具合を比較してみたいと思いますので、おためしで85℃、50秒に設定させていただきました。
また、茶葉も推奨6gとやや多めの設定となっておりますが、同上の理由により4.5gとさせていただきました。

1煎目、香りはまったりと柔らかく芳醇で、少しの香ばしさがあります。この香ばしさがより甘さを強調するというか、熟し感を演出しているように感じられます。
カスタードクリームのようなもったりした、若干ミルク感のある香り。
茶液を飲み込んだあと、ふつふつ舌先に甘みが残ります
2煎3煎と続けて飲んでも風味・味ともに濃く力強さがあります。
むしろ3煎目くらいのほうがいい感じに茶葉がほぐれるのか、華々しさ(イメージは白い花弁の大きなお花が甘かったらこんな香りかなと思わせるような)と一緒にコクのあるフルーティーさが増すような気もしますね。
1煎目はとにかく香りの甘やかさが目立ちます。
国内大手のお茶屋さんの商品で手に入れやすさもあり、初めての東方美人、あるいは東方美人の基準をこの茶ぐらいにすると幸せな台湾茶ライフが送れるのではないでしょうか。

HOJOさん

3.5g 85℃程度、170㏄ 50秒
今回の茶葉ではお値段が1番します。このパックはお試し購入だったので15g、大事にいただきたいと思います。
ウンカ芽が目視できる、小ぶりできゅっとした茶葉ですね。
お湯を注ぐと、すぐさま強い果実香。今回の3つのお茶の中で、最初の香りの立ち方は1番かもしれません。
茶殻も「こんな香りのワインを嗅いだことがあるような」と感じる、熟成した葡萄?ドライデーツ?のようなもったりとした甘い香り。

1煎目、淡い干し草の風味の中に複数の花、果物、香りが複雑すぎて形容に迷います。
2煎目、上記の香りに加えやや木の実?残り香や鼻に抜ける戻り香はまだまだ甘く、くすぶるというか余韻が続きます。
3煎目になると果物の皮感が現れ、少し草の感じが前へ出てくるように思えました。

次は何を感じ取ればいいかしらと味わいを確かめようとするあまりに、ずーっと嗅ぎ続けてしまう大変に魅力的なお茶です。
だんだんこのあたりから茶酔いの感じが若干現れ始め、集中力も途切れたのでただ楽しく味わうというフェーズに以降。そのあと4煎目を終え、5煎目あたりに風味や香りの弱まりを感じたのでストップ。

まとめ

どんなお茶でも言えること且つすごく当たり前のことなのですが、同じ名が付くお茶でも、製茶をされる方や茶葉の質、テイストの方向性というか目指す香りの志向が違いが、飲み比べることにより顕著に違いがわかります。

私見になりますが、東方美人茶はかなり「香り特化型」というか、その蜜のような果物のような香りを味わいたいがために飲むお茶です。
いただく前、お湯を注いだ瞬間から蓋を開けたとき(そして蓋にうつった香り)、1煎目を口に含む前、啜ってみて飲み込み、その後味や余韻、そして2煎目……と楽しみはいっこうに尽きません。
東方美人「沼」、あると思います!

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